「電気の点検に来ました」と知らない人が来たら
一行でいうと
点検に伺うのは、契約書に名前のある本人だけです。心当たりのない訪問は、断っていただいて構いません。
何が起きているか
国民生活センターが2025年6月4日、「太陽光発電システムの点検商法が急増」として注意を呼びかけました。
全国の消費生活センターに寄せられた相談は、2023年度の304件から、2024年度は613件へ。
2017年度は57件でしたから、7年で10倍を超えています。
報告されている手口で目立つのが、「点検が義務化された」という言い方です。
無料点検を持ちかけて訪問し、その場でパネルの購入や工事を勧める。
センターの発表は住宅用の設備を対象にしたものです。
ただ、同じ言い方が事業用の設備に向けられないとは限りません。
なぜ、この言い方で引っかかるのか
「義務化された」が、まったくの嘘ではないからです。
FITの認定を受けた設備には、国の事業計画策定ガイドライン(発電事業をどう進めるかを定めた指針)で
保守点検が求められています。住宅用の10kW未満でも同じです。
高圧で受電する設備や50kW以上の発電設備であれば、
保安規程(設備ごとに定めて国に届け出る、点検のルールブック)を定める義務があり、
それに沿った点検が必要です(電気事業法第42条。小規模事業用電気工作物は除きます)。
つまり「点検は要りますよ」の部分は、たいてい正しい。
正しいところから入って、「だから今日、うちが見ます」へつなげる。 ここが手口の要です。
嘘を見破ろうとすると、かえって迷います。嘘ではないからです。
見るべきは、義務の有無ではありません。
事業用の設備をお持ちの方へ — 事実は単純です
すでに保安管理を委託されている設備であれば、誰が点検するかは、もう決まっています。
- 設置者が外部委託の承認(主任技術者を置く代わりに外部の技術者へ任せてよい、という国の承認)を
受けたうえで、委託先の電気管理技術者が点検します - 点検の頻度は、国の告示で決まっています。事務所が勝手に決められるものではありません
- 委託先の技術者の名前は、契約書にも、国に提出した書類にも記載されています
- 当事務所の場合は、点検に伺うのは契約書に名前のある本人です。担当者が入れ替わることはありません
(出張中や体調を崩したときは、協会の代行者が伺うことがあります)
心当たりのない人が「点検に来ました」と訪ねてくる理由が、そもそもありません。
義務があるかどうかではなく、もう誰かが担っているかどうか。見るのはそちらです。
なお、委託先によっては担当者が複数いて、交代することもあります。
大事なのは「知らない顔かどうか」ではなく、「委託先に心当たりがあるかどうか」です。
分からなければ、その場で契約せず、委託先にお電話で確かめてください。
その場での断り方
考え込む必要はありません。次の一言で足ります。
「保安管理は委託先が決まっていますので、必要ありません。お引き取りください。」
当事務所のお客様でしたら、こうお伝えください。
「北村電気管理事務所が保安管理をしていますので、必要ありません。お引き取りください。」
「結構です」は使わないでください。「結構」は断りにも承諾にも取れる言葉です。
あとから「結構だとおっしゃいましたよね」と、承諾したことにされてしまうおそれがあります。
要らない、とはっきり言い切る言葉を選んでください。
相手の話を最後まで聞く義理はありませんし、その場で書類にサインする理由もありません。
「検討します」も言わなくて構いません。この一言で終わりです。
迷ったときは
- その場で契約しない。 これだけで、たいていのことは防げます。
- 委託先に確認する。 ご契約中の電気管理技術者に、電話一本で確かめられます。
当事務所のお客様でしたら、遠慮なくご連絡ください。 - 不審だと感じたら、警察に相談する。 警察相談専用電話 #9110。
ご自宅の設備など、個人としてのご契約であれば、
消費者ホットライン 188(いやや)もご利用いただけます
(事業としてのご契約は、消費生活センターの対象外になることがあります)。
最後に
当事務所の場合、点検に伺うのは、いつも同じ人間です。
裏を返せば、心当たりのない人が突然、電気の点検に来ることはありません。
その一点さえ押さえていただければ、この手の訪問は見分けられます。
出典
独立行政法人国民生活センター「太陽光発電システムの点検商法が急増!——『点検が義務化された』などと言われても、安易に契約せず、まずは点検の要否を確認しましょう——」(2025年6月4日 報道発表。相談件数は同発表時点の集計)/
資源エネルギー庁「事業計画策定ガイドライン(太陽光発電)」/
消費者ホットライン 188。