北村電気管理事務所ELECTRICAL SAFETY MANAGEMENT / TSUYAMA, OKAYAMA

形の合わないプラグは、つながない。差すときは、奥まで(保安教育資料 2026年11月号)

/ REV.09 / 北村電気管理事務所

この記事は、毎月お配りしている保安教育資料(2026年11月号)の読みもの部分です。資料そのもの(PDF)は、この記事のいちばん下からダウンロードできます。掲載の画像は、説明のために作成したイメージです。実際の現場を撮影したものではありません。

一行でいうと
アース付きの3ピンのプラグを、2穴の延長コードに無理に差さない。差すときは奥まで。形が合わないのは「つながないで」という合図です。

2026年10月24日、北九州市の市立体育館で、10代の男性が電動のバスケットゴールを片づけている最中に感電し、病院に運ばれました。目立ったけがはありませんでしたが、念のため4〜5日の検査入院になったと報じられています。

ゴールの電源プラグはアース付きの3ピンでした。ところが、施設が貸し出していたのは2穴の延長コードでした。プラグが奥まで入らず、むき出しになった金属の刃に触れたとみられています。

3ピンのプラグは、パソコンや医療機器、業務用の機械など、職場にも少なくありません。体育館だけの話ではありません。コンセントまわりで気をつけたい場面を、4つにまとめました。

コンセントまわりの、4つの落とし穴

アース付き3ピンのプラグを2穴の延長コードに無理に差し、金属の刃が露出している様子

01 形が合わない

アース付きの3ピンのプラグを、2穴の延長コードやコンセントに無理に差さないでください。奥まで入らず、金属の刃がのぞいたまま電気が通ることがあります。アースのピンを折ったり曲げたりするのも、やめてください。アースは、機械の中で漏電したときに、電気を人ではなく地面へ逃がす道です。2穴につなぐと、その道もつながりません。形が合わないのは「つながないで」という合図です。

半差しで金属の刃が見えているプラグと、すき間なく差し込んだプラグ

02 奥まで入っていない

プラグとコンセントのあいだに、すき間はありませんか。金属の刃が見えていたら、そこには電気が来ています。指や金属が触れると感電します。すき間にはほこりもたまり、発熱や発火(トラッキング現象)の原因になります。差すときは奥まで。プラグがゆるくて抜けかかるコンセントは使わずに、社内の電気ご担当者へ知らせてください。壁のコンセントの取り替えは、電気工事士の資格が要る工事です。

使わない差込口に付けたコンセントカバー

03 子どもの手が届く

お子さまが出入りする職場(福祉施設・店舗の売り場・待合など)では、低い位置のコンセントに気をつけてください。消費者庁と国民生活センターの「医療機関ネットワーク」には、2021年4月から2026年7月までに、15歳以下の子どもがコンセントなどで感電・やけどをした事故が38件寄せられ、うち8件は入院が必要でした。いちばん多かったのは、差込口にヘアピンや針金などを差し込んだ事故(28件)です。使わない差込口にはコンセントカバーを。延長コードを床に出しっぱなしにしないことも大切です。

電気ストーブを延長コードにつないだ例と、壁のコンセントに直接つないだ例

04 暖房器具と延長コード

電気ストーブやヒーターは、電気をたくさん使う器具です。取扱説明書で、延長コードの使用を禁止しているものもあります。できるだけ壁のコンセントに直接つないでください。延長コードを使うときは、つなぐ器具の合計が、延長コードに書かれた「合計◯◯Wまで」を超えないように。束ねたままや、物の下敷きにして使わないでください。NITE が集めた2012〜2016年度の事故では、延長コードなどの配線器具の事故は、毎年12月から3月がいちばん多くなっていました。

※ 掲載の画像は、説明のために作成したイメージです。実際の現場を撮影したものではありません。

気づいたら、この順で

  1. さわらない。熱いもの、焦げているもの、濡れているもの、壊れて金属が見えているものには、手を出さないでください
  2. 使うのをやめる。安全に操作できるときだけ、その機器のスイッチを切ってください
  3. 人に伝える。社内の電気ご担当者へ。「いつ・どこで・どんな様子か」だけで十分です
  4. 保安管理の委託先へ連絡する。夜間でも休日でも構いません。迷ったら連絡してください。空振りで構いません

人が感電したときは

まず電気を切ってください。プラグを抜く、ブレーカーを切る。電気が切れるまでは、感電した人の体にさわらないでください。助けに入った人も感電します。意識がない、反応がない、呼吸の様子がおかしいときは、すぐに119番へ。

見た目のけがが小さくても、医療機関に相談してください。感電によるけがは、皮膚の下の筋肉・神経・心臓に及ぶことがあり、外から見ただけでは重さが分かりません。北九州の件でも、目立ったけがが無いまま検査入院になっています。

ふだんから、できること

職場の延長コードとプラグを、一度ぜんぶ見て回りましょう。形が合わないままつないでいるもの、奥まで入っていないもの、刃が曲がっているもの、コードの被覆が破れているもの。年末の大掃除のついでに、プラグの根元のほこりも取ってください。

延長コードを貸し出したり、行事で用意したりする職場では、貸す前に、つなぐ機械のプラグの形と、延長コードの差込口の形が合っているかを確かめてください。3ピンのプラグには、アース付き(3穴)の延長コードを。

キュービクル(高圧受電設備)や低圧分電盤のまわりに、物を置かないでください。扉が開けられないと点検ができません。キュービクル(高圧受電設備)の中は、感電などのおそれがあり危険です。開けないでください。扉を開けるのは、保安管理の委託先の技術者です。鍵の管理もお願いします。

低圧の分電盤は、キュービクルとは扱いが違います。ブレーカーの入切をどこまでご自身で行っていただくかは、設備ごと・委託先ごとに決めごとが違います。お手元の設備については、保安管理の委託先の取り決めに従ってください。

当事務所は、どう見ているか

定期点検でお伺いしたときに、電気設備を見ています。高圧の設備だけでなく、コンセントのまわりも見ています。あわせて当事務所の遠隔監視装置で、停電と漏電を24時間監視しています。異常があれば、時間帯を問わずメールが届きます。

ただ、装置が見ているのは停電と漏電だけです。プラグが奥まで入っていなくても、延長コードの形が合っていなくても、装置には映りません。そこは、皆さまの目と鼻と耳が頼りです。見た目・におい・音がいつもと違うときは、触れずに使うのをやめて、知らせてください。

職場でできる、電気のチェックシート

朝礼や安全会議で、そのままお使いください。付かなかったところが、直せるところです。

  • 3ピンのプラグが、形の合う延長コード・コンセントにつながっている
  • プラグが奥まで差し込まれていて、金属の刃が見えていない
  • プラグがゆるくて抜けかかるコンセントがない
  • コンセントやプラグの根元に、ほこりがたまっていない
  • 電気ストーブやヒーターを、壁のコンセントに直接つないでいる
  • 延長コードを束ねたまま使っていない
  • コードが踏まれる場所・物の下を通っていない
  • お子さまが出入りする職場では、低いコンセントの使わない口にカバーがある
  • 貸し出す延長コードは、つなぐ機械のプラグと形が合うか確かめている
  • 夜間・休日の緊急連絡先が分かるところに貼ってある

形の合わない接続、破損、焦げなど危険な状態は、すぐに使うのをやめてください。そのほかは、社内の電気ご担当者と優先順位を相談して直しましょう。

リコールは、型番で確かめる

職場で使っている機械や家電が、リコール(回収・無償修理など)の対象になっていることがあります。見た目やメーカー名だけでは、対象かどうか判断できません。型番や製造番号を、メーカーの対象一覧と照らし合わせてください。

新しく公表されたリコールは、経済産業省の「リコール情報」のページ(経済産業省ウェブサイト)で、日付の新しい順に見られます。対応が変わった件(使用中止への変更など)は、最初の公表日の位置に「対策内容更新」と書き足されます。このページに載るのは、主に家庭などで使う製品です。業務用として売られた機械は、メーカーや設置した業者に確かめてください。

ご契約先以外の方へ

この記事は、どなたにお読みいただいても構いません。延長コードの選び方や差し方の話は、そのまま使っていただけます。

ただ、お手元の設備について具体的な判断が必要なときは、その設備を担当している電気主任技術者・電気管理技術者にご相談ください。その方が、設備をご存じです。

当事務所は、図面も点検の記録も拝見していない設備について、良し悪しを申し上げることはできません。個別のご返信は、保安管理の委託・切替をご検討中の方に限らせていただいています。

保安教育資料 2026年11月号のダウンロード

印刷して、朝礼や安全会議でお使いください(PDF・A4・8ページ)。チェックシートと、経済産業省のリコール情報のページのQRコードも入っています。

汎用版は、ほかの電気管理技術者の皆さまが、ご自身のお客さまの保安教育にそのままお使いいただけるよう、当事務所だけに当てはまる書き方を「担当の電気管理技術者」に直した版です。表紙に担当の方のお名前を書く欄があります。印刷してお配りいただくのも、PDFをお渡しいただくのも構いません。内容を書き換えての配布や、ほかのサイトへの転載はお断りします。

出典

北九州市の体育館での感電は、KBC九州朝日放送・TNCテレビ西日本(2026年10月26日)、RKB毎日放送、NHK(2026年10月27日)などの報道によります。感電の原因は、報道の時点で「〜とみられる」とされているもので、確定したものではありません。子どもの感電・やけどの件数と、感電したときの対応は、独立行政法人国民生活センター「コンセントまわりの安全対策を見直しましょう-子どもの感電や熱傷を防ぐために-」(2026年10月21日)です。件数は医療機関ネットワークに寄せられたもので、全国のすべての事故の数ではありません。暖房器具と延長コード、差し込みとほこりについては、独立行政法人製品評価技術基盤機構(NITE)「冬場の安全な暮らしのために~延長コードやテーブルタップの正しい使い方~」(2018年1月25日。事故の多い時期は2012〜2016年度の集計)と、NITE 製品安全情報マガジン Vol.488「暖房器具の事故」(2025年11月11日)を参考にしています。リコール情報の調べ方は、経済産業省「製品安全ガイド/リコール情報」です(いずれも2026年11月1日に確認)。
本記事と資料は、上記の公表資料をもとに、事業場でお使いいただくために北村電気管理事務所が編集・執筆したものです。原文の転載ではありません。掲載の画像は実際の現場写真ではなく、説明のために作成したイメージです。QRコードは株式会社デンソーウェーブの登録商標です。

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