電気の異常の多くは、壊れる前にサインを出しています(保安教育資料 2026年10月号)
この記事は、毎月お配りしている保安教育資料(2026年10月号)の読みもの部分です。資料そのもの(PDF)は、この記事のいちばん下からダウンロードできます。掲載の写真は、説明のために作成したイメージです。実際の現場を撮影したものではありません。
一行でいうと
においが出る。ほこりがたまる。音が鳴る。ブレーカーが落ちる。この4つに最初に気づけるのは、点検に伺う技術者ではなく、毎日そこにいる皆さまです。
電気の事故は、ある日とつぜん起きるように見えます。ただ、その前に何かが変わっていることのほうが多いです。変わり方が小さいので、見過ごされるだけです。
もちろん、落雷や小動物の侵入のように、前ぶれなく起きる事故もあります。それでも、気づけるものは確かにあります。気づけた分だけ、事故は減らせます。
当事務所が伺えるのは、点検の日だけです。そのあいだの変化に気づけるのは、そこで働いている方だけです。専門の知識は要りません。次の4つを覚えていただければ十分です。
電気の異常に気づく、4つのサイン

SIGN 01 におい・熱
焦げくさい、ビニールが溶けたようなにおい。プラグやコードが、さわって熱い。どちらもコンセントまわりから出ることが多いサインです。どこからか分からなくても構いません。電気が通るところが熱を持つと、まわりの樹脂やほこりが先に焦げます。においは、煙より早く出ます。

SIGN 02 ほこり
挿しっぱなしのプラグの根元に、ほこりがたまっていませんか。冷蔵庫、コピー機、給湯器の裏——動かさない場所ほどたまります。ほこりが湿気を吸うと、そこに電気が流れて発熱します(トラッキング現象)。抜いていなくても燃えます。掃除で防げます。

SIGN 03 音
ジー、ブーン、チリチリ。いつもと違う音、いつもより大きい音。「前からこんな音だった気がする」でも構いません。ゆるみや部品の劣化は、音になって出ます。毎日聞いている人にしか分かりません。なお、分電盤を開けるときは、担当の技術者へお声がけください。

SIGN 04 動き
ブレーカーが落ちる。照明がちらつく。機械の動きがおかしい。一度で収まっても、落ちたこと自体が情報です。ブレーカーは壊れて落ちるのではなく、危ないから落ちています。原因が分からないまま、何度も入れ直さないでください。繰り返すなら、原因があります。
※ 掲載の画像は、説明のために作成したイメージです。実際の現場を撮影したものではありません。
気づいたら、この順で
- さわらない。熱いもの、焦げているもの、濡れているものには手を出さないでください
- 使うのをやめる。その機器のスイッチを切る。プラグが熱くなければ、抜いていただいて構いません
- 人に伝える。社内の電気ご担当者へ。「いつ・どこで・どんな様子か」だけで十分です
- 保安管理の委託先へ連絡する。夜間でも休日でも構いません。迷ったら連絡してください。空振りで構いません
「大したことないかも」で止めないでください。空振りの連絡で失うものはありません。連絡しなかったことで失うもののほうが、ずっと大きいです。
ふだんから、できること
キュービクル(高圧受電設備)や低圧分電盤のまわりに、物を置かないでください。扉が開けられないと点検ができません。荷物、パレット、脚立、植木——気がつくと置かれています。
キュービクル(高圧受電設備)の中は、感電などのおそれがあり危険です。開けないでください。扉を開けるのは、保安管理の委託先の技術者です。鍵の管理もお願いします。
低圧の分電盤は、キュービクルとは扱いが違います。ブレーカーの入切をどこまでご自身で行っていただくかは、設備ごと・委託先ごとに決めごとが違います。お手元の設備については、保安管理の委託先の取り決めに従ってください。
そのほかでは、ほこりの掃除がいちばん効きます。コンセントの裏、機器の裏、分電盤のまわり。年に一度でも違います。延長コードを束ねたまま使わない。踏まれる場所に這わせない。このあたりは、掃除のついでに直せます。
当事務所は、どう見ているか
定期点検でお伺いしたときに、電気設備を見ています。高圧の設備だけでなく、コンセントのまわりも見ています。あわせて当事務所の遠隔監視装置で、停電と漏電を24時間監視しています。異常があれば、時間帯を問わずメールが届きます。
ただ、装置が見ているのは停電と漏電だけです。コンセントが焦げていても、コードが熱くても、装置には映りません。そこは、皆さまの目と鼻と手と耳が頼りです。
職場でできる、電気のチェックシート
朝礼や安全会議で、そのままお使いください。付かなかったところが、直せるところです。
- コンセントやプラグの根元に、ほこりがたまっていない
- プラグやコードが熱くなっているものはない
- コンセントやプラグに焦げ跡・変色・ひびがない
- 延長コードを束ねたまま使っていない
- コードが踏まれる場所・家具の下を通っていない
- たこ足配線になっているところがない
- キュービクルや分電盤のまわりに物を置いていない
- 分電盤の扉が閉まっている。鍵の場所が分かる
- ブレーカーが落ちたとき、誰に知らせるか決まっている
- 夜間・休日の緊急連絡先が分かるところに貼ってある
全部を一度に直す必要はありません。ほこりの掃除ひとつでも、事故はひとつ減ります。
リコールは、型番で確かめる
職場で使っている機械や家電が、リコール(回収・無償修理など)の対象になっていることがあります。見た目やメーカー名だけでは、対象かどうか判断できません。型番や製造番号を、メーカーの対象一覧と照らし合わせてください。
新しく公表されたリコールは、経済産業省の「リコール情報」のページ(経済産業省ウェブサイト)で、日付の新しい順に見られます。対応が変わった件(使用中止への変更など)は、最初の公表日の位置に「対策内容更新」と書き足されます。このページに載るのは、主に家庭などで使う製品です。業務用として売られた機械は、メーカーや設置した業者に確かめてください。
ご契約先以外の方へ
この記事は、どなたにお読みいただいても構いません。掃除や置き方の話は、そのまま使っていただけます。
ただ、お手元の設備について具体的な判断が必要なときは、その設備を担当している電気主任技術者・電気管理技術者にご相談ください。その方が、設備をご存じです。
当事務所は、図面も点検の記録も拝見していない設備について、良し悪しを申し上げることはできません。個別のご返信は、保安管理の委託・切替をご検討中の方に限らせていただいています。
保安教育資料 2026年10月号のダウンロード
印刷して、朝礼や安全会議でお使いください(PDF・A4・6ページ)。チェックシートと、経済産業省のリコール情報のページのQRコードも入っています。
汎用版は、ほかの電気管理技術者の皆さまが、ご自身のお客さまの保安教育にそのままお使いいただけるよう、当事務所だけに当てはまる書き方を「担当の電気管理技術者」に直した版です。表紙に担当の方のお名前を書く欄があります。印刷してお配りいただくのも、PDFをお渡しいただくのも構いません。内容を書き換えての配布や、ほかのサイトへの転載はお断りします。
出典
トラッキング現象およびコンセントまわりの注意については、独立行政法人製品評価技術基盤機構(NITE)による製品事故の注意喚起を参考にしています。リコール情報の調べ方は、経済産業省「製品安全ガイド/リコール情報」(2026年9月29日に確認)です。
本記事と資料は、上記の公表資料をもとに、事業場でお使いいただくために北村電気管理事務所が編集・執筆したものです。原文の転載ではありません。掲載の画像は実際の現場写真ではなく、説明のために作成したイメージです。QRコードは株式会社デンソーウェーブの登録商標です。