点検の間隔は、事務所が決めているのではありません
一行でいうと
月に一度なのか、二か月に一度なのか。この間隔は、国が決めています。
電気管理技術者が都合で選んでいるものではありません。
「あそこは隔月なのに、うちは毎月」
ときどき、こうしたお尋ねをいただきます。
同業のお知り合いと話をされて、点検の間隔が違うことに気づかれる。
手を抜かれているのか、余計に取られているのか。 そう思われるのは、当然だと思います。
先にお答えします。どちらでもありません。
この間隔は、事務所が決められるものではないからです。
決めているのは、国です
法令の組み立ては、二段になっています。
電気事業法施行規則 第53条第2項第5号が、保安管理業務を外部に委託する場合の
点検の頻度について、「別に告示する頻度」と定めています。
つまり規則そのものには数字が書いてありません。告示に委ねているわけです。
その告示が、平成15年経済産業省告示第249号です。
この第4条(見出しは「点検頻度」)に、実際の周期が定められています。
点検の間隔は、委託の契約書にも書きます。
ただ、その数字を決めているのは契約書ではありません。
告示の区分に、お客様の設備がどう当てはまるか。それで決まります。
何で変わるのか
区分はいくつもあります。分けているのは、おおむね次の3つです。
- 設備の種類 — 需要設備か、太陽電池発電所か、蓄電所か
- 設備の容量
- 保安装置の有無 — 低圧電路の絶縁の状態を見張る装置や、漏電遮断器が入っているか
保安装置が効いてきます。 常時どこかを見張っている仕組みがあるかどうかで、
人が足を運ぶ間隔の区分が変わります。ただし、装置さえあればよいというものでもなく、
区分によっては、主遮断装置などが適切に更新されていることも条件に加わります。
工事の期間中など、特別に短い間隔が定められている場合もあります。
実際の区分(需要設備の場合)
代表的なものを挙げます。これで全部ではありません。
| どんな設備か | 間隔 | 告示第4条 |
|---|---|---|
| 下のどれにも当てはまらない需要設備 | 毎月1回以上 | 第10号 |
| 信頼性の高い設備条件をすべて満たし、100kVA以下か低圧受電 | 隔月1回以上 | 第7号 |
| 同じ設備条件+低圧電路の絶縁を見張る装置か漏電遮断器がある | 隔月1回以上 | 第8号イ |
| 同じ設備条件+絶縁と負荷を見張る装置があり、主遮断装置などが適切に更新されている | 3か月に1回以上 | 第8号ハ |
| 同じ設備条件+屋内のキュービクル式で、蓄電池も非常用発電機もない | 3か月に1回以上 | 第9号 |
| 工事の期間中 | 毎週1回以上 | 第11号 |
「信頼性の高い設備条件」とは、柱上の高圧変圧器がないこと、
高圧負荷開閉器に燃えやすい絶縁油を使っていないこと、
責任分界点に地絡保護継電器付きの開閉器か地絡遮断器があること、
責任分界点から主遮断装置の間に余計な変成器がないこと——この4つです(第7号イ〜ニ)。
ここでひとつ、知っておいていただきたいことがあります。
第7号には「100kVA以下」という容量の上限が付いていますが、
第8号にはその上限がありません。 第8号は第7号の設備条件だけを引いています。
つまり設備が大きくても、条件が合えば間隔は延びます。
「うちは大きいから毎月なのだろう」とは限らない、ということです。
太陽光発電所・蓄電所の場合
こちらは別の区分になります。
| 間隔 | 告示第4条 | |
|---|---|---|
| 太陽電池発電所・蓄電所(受変電設備を持たないもの) | 6か月に1回以上 | 第4号 |
| 受変電設備がある場合 | その設備の条件に応じて2か月〜6か月 | 第4号の2 |
| 異常時に安全・確実に停止させる監視体制が確保されている場合 | 3か月〜6か月 | 第4号の3 |
監視体制が確保されていれば、間隔が一段延びる組み立てになっています。
なお、この告示はいまも改正されています。 近年にも新しい区分が加わりました。
「昔こう聞いた」がそのまま当てはまるとは限りません。
つまり、こういうことです
- 間隔を決めているのは、告示。事務所ではありません
- 決め手は、設備の種類・容量・保安装置の有無
- だから設備が違えば、間隔が違って当たり前です
- 隣の事業場と違っていても、どちらかが間違っているわけではありません
告示が定めているのは「隔月に1回以上」「毎月1回以上」といった下限です。
ですから「もっと見てほしい」というご希望は、費用のご相談にはなりますが、
制度として妨げられるものではありません。
できないのは、下限より間隔を延ばすことです。
そこは、こちらの都合で動かせません。
間隔は、どうやって分かるのか
ご契約前でしたら、いまの設備でどの区分になるかをお示しします。
単線結線図と、いまお手元にある点検記録を拝見できれば、判断できます。
知っておいていただきたいのは、これが交渉ごとではないということです。
条件に当てはまれば、その区分になります。当てはまらなければ、なりません。
こちらが値引きの代わりに間隔を延ばす、ということもできません。
出典
電気事業法施行規則 第53条第2項第5号/
平成15年経済産業省告示第249号(電気事業法施行規則第52条の2第1号ロの要件等
並びに第53条第2項第5号の頻度に関する告示)第4条/
点検の実施方法は「主任技術者制度の解釈及び運用」(内規)4.(7)②。
告示の条文は、経済産業省ウェブサイトで公開されている原文(2026年8月25日時点。
直近の改正は令和7年3月31日経済産業省告示第43号、令和7年4月1日施行)によります。