北村電気管理事務所ELECTRICAL SAFETY MANAGEMENT / TSUYAMA, OKAYAMA

太陽光に蓄電池を足すと、設備の区分が変わることがあります

/ REV.04 / 北村電気管理事務所

一行でいうと
蓄電池をパネルとパワコンの間に足すと、発電所の出力の数え方そのものが変わります。
数え方が変わった結果、いままで電気主任技術者の要らなかった設備に、選任または外部委託が必要になることがあります。

まず、出力の数え方に原則と例外があります

中国四国産業保安監督部四国支部が、こう示しています。

太陽電池発電設備の出力は、原則として太陽電池モジュールの合計出力で判断します。
ただし、太陽電池モジュールとパワーコンディショナーの間に電気を消費又は貯蔵する機器(蓄電池等)を
接続しない場合
は、パワーコンディショナーの出力で判断しても良いこととなっております。

二段構えになっています。

  • 原則 … パネルの合計出力で数える
  • 例外 … 蓄電池などを挟まないなら、パワコンの出力で数えてもよい

低圧の太陽光には、この例外のほうで成り立っている設備があります。
パネルを多めに載せて(過積載)、パワコンを50kW未満に抑える。
そうすると、パネルの合計が50kWを超えていても、パワコン基準で数えてよい——という組み方です。

蓄電池を足すと、例外が使えなくなります

もう一度お読みください。例外が使えるのは
太陽電池モジュールとパワーコンディショナーの間に……蓄電池等を接続しない場合」です。

繋ぐ位置が条件になっています。
パネルとパワコンの間に蓄電池を入れれば、この条件から外れます。
例外が消えて、原則に戻る。 つまりパネルの合計出力で数え直されます。

たとえば、低圧で受電している、こういう設備です。

パネルとパワコンの間に蓄電池なし 間に蓄電池あり
パネル合計 60kW 60kW
パワコン 49.5kW 49.5kW
数え方 パワコンでよい(例外) パネル合計(原則に戻る)
判断される出力 49.5kW 60kW
区分 小規模事業用電気工作物 自家用電気工作物

設備は何も減っていません。パネルもパワコンも、そのままです。
足したのは蓄電池だけ。それで区分が変わります。

なお、どこに繋ぐかで結論が変わりますので、
蓄電池の設置をご検討の際は、構成が分かる図でご確認ください。

区分が変わると、何が変わるか

中国四国産業保安監督部が示している区分は、次のとおりです。

出力などの条件 電気事業法上の種類 基礎情報の届出 使用前自己確認
10kW未満・低圧 一般用電気工作物 不要 不要
10kW以上50kW未満・低圧 小規模事業用電気工作物 必要 必要
10kW以上50kW未満で、高圧受電設備のある事業場に電気的に接続 自家用電気工作物 不要 必要
50kW以上2,000kW未満 自家用電気工作物 不要 必要

低圧で受電していても、50kW以上と判断されれば自家用電気工作物です。
ここが取り違えられやすいところで、「低圧だから関係ない」という思い込みのもとになっています。

表の3行目にも目を留めてください。50kW未満であっても、
高圧受電設備のある事業場の構内につながっていれば、自家用電気工作物です。

工場の敷地に低圧の太陽光を置いている、という形がこれにあたります。

つまり区分は、受電電圧だけでも、出力だけでも決まりません。 両方で決まります。

自家用電気工作物になると、電気主任技術者を選任するか、外部に委託することが必要になります。
社内に有資格者を置かない場合は、外部委託承認の手続きを取ることになります。

あなたの設備は、どうか

順に見ていってください。

  • パネルの合計出力は何kWですか。 カタログの1枚あたりの出力 × 枚数です。
    パワコンの数字ではありません
  • その合計は50kW以上ですか。 以上なら、パネルとパワコンの間に蓄電池を足した時点で
    自家用電気工作物になります
  • 蓄電池を、パネルとパワコンの間に繋ぎますか。 繋がないなら、例外は使えたままです
  • 高圧受電設備のある事業場の構内ですか。 そうであれば、
    50kW未満でも自家用電気工作物です。ここは蓄電池の有無と関係ありません

過積載の設備ほど、この落とし穴にはまります。
パワコンを49.5kWに抑えてある設備は、まさにその形です。

発注の前に、ご確認ください

この話がやっかいなのは、蓄電池が付いてから分かることです。

工事が終わって、電気が流れはじめて、そこで「主任技術者が要ります」となる。
そこから外部委託の手続きを取ることになります。

判断に必要なのは、パネルの合計出力/蓄電池を入れるかどうか/どこに繋ぐか/
高圧受電の事業場の構内かどうか
。この4つです。
見積書と構成図があれば、その場で分かります。

先に分かってさえいれば、主任技術者にかかる費用も、事業計画に織り込んでおけます。
工事が終わったあとで足すことになると、想定していなかった支出になる。
同じ金額でも、受け止め方がまるで違います。

蓄電池の追加をご検討でしたら、発注の前に——できれば見積りを取る段階で——
一度ご確認ください。委託・切替をご検討中でしたら、
図面を拝見して、区分がどうなるかを整理してお伝えします。

出典

経済産業省 中国四国産業保安監督部四国支部「太陽電池発電設備(出力2,000キロワット未満)を設置する場合」/
電気事業法第39条・第43条・第46条・第51条の2/電気事業法施行規則第52条第2項。
出力の数え方および区分の表は、2026年8月25日時点の同支部ウェブサイトの記載によります。

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