太陽光に蓄電池を足すと、設備の区分が変わることがあります
一行でいうと
蓄電池をパネルとパワコンの間に足すと、発電所の出力の数え方そのものが変わります。
数え方が変わった結果、いままで電気主任技術者の要らなかった設備に、選任または外部委託が必要になることがあります。
まず、出力の数え方に原則と例外があります
中国四国産業保安監督部四国支部が、こう示しています。
太陽電池発電設備の出力は、原則として太陽電池モジュールの合計出力で判断します。
ただし、太陽電池モジュールとパワーコンディショナーの間に電気を消費又は貯蔵する機器(蓄電池等)を
接続しない場合は、パワーコンディショナーの出力で判断しても良いこととなっております。
二段構えになっています。
- 原則 … パネルの合計出力で数える
- 例外 … 蓄電池などを挟まないなら、パワコンの出力で数えてもよい
低圧の太陽光には、この例外のほうで成り立っている設備があります。
パネルを多めに載せて(過積載)、パワコンを50kW未満に抑える。
そうすると、パネルの合計が50kWを超えていても、パワコン基準で数えてよい——という組み方です。
蓄電池を足すと、例外が使えなくなります
もう一度お読みください。例外が使えるのは
「太陽電池モジュールとパワーコンディショナーの間に……蓄電池等を接続しない場合」です。
繋ぐ位置が条件になっています。
パネルとパワコンの間に蓄電池を入れれば、この条件から外れます。
例外が消えて、原則に戻る。 つまりパネルの合計出力で数え直されます。
たとえば、低圧で受電している、こういう設備です。
| パネルとパワコンの間に蓄電池なし | 間に蓄電池あり | |
|---|---|---|
| パネル合計 | 60kW | 60kW |
| パワコン | 49.5kW | 49.5kW |
| 数え方 | パワコンでよい(例外) | パネル合計(原則に戻る) |
| 判断される出力 | 49.5kW | 60kW |
| 区分 | 小規模事業用電気工作物 | 自家用電気工作物 |
設備は何も減っていません。パネルもパワコンも、そのままです。
足したのは蓄電池だけ。それで区分が変わります。
なお、どこに繋ぐかで結論が変わりますので、
蓄電池の設置をご検討の際は、構成が分かる図でご確認ください。
区分が変わると、何が変わるか
中国四国産業保安監督部が示している区分は、次のとおりです。
| 出力などの条件 | 電気事業法上の種類 | 基礎情報の届出 | 使用前自己確認 |
|---|---|---|---|
| 10kW未満・低圧 | 一般用電気工作物 | 不要 | 不要 |
| 10kW以上50kW未満・低圧 | 小規模事業用電気工作物 | 必要 | 必要 |
| 10kW以上50kW未満で、高圧受電設備のある事業場に電気的に接続 | 自家用電気工作物 | 不要 | 必要 |
| 50kW以上2,000kW未満 | 自家用電気工作物 | 不要 | 必要 |
低圧で受電していても、50kW以上と判断されれば自家用電気工作物です。
ここが取り違えられやすいところで、「低圧だから関係ない」という思い込みのもとになっています。
表の3行目にも目を留めてください。50kW未満であっても、
高圧受電設備のある事業場の構内につながっていれば、自家用電気工作物です。
工場の敷地に低圧の太陽光を置いている、という形がこれにあたります。
つまり区分は、受電電圧だけでも、出力だけでも決まりません。 両方で決まります。
自家用電気工作物になると、電気主任技術者を選任するか、外部に委託することが必要になります。
社内に有資格者を置かない場合は、外部委託承認の手続きを取ることになります。
あなたの設備は、どうか
順に見ていってください。
- パネルの合計出力は何kWですか。 カタログの1枚あたりの出力 × 枚数です。
パワコンの数字ではありません - その合計は50kW以上ですか。 以上なら、パネルとパワコンの間に蓄電池を足した時点で
自家用電気工作物になります - 蓄電池を、パネルとパワコンの間に繋ぎますか。 繋がないなら、例外は使えたままです
- 高圧受電設備のある事業場の構内ですか。 そうであれば、
50kW未満でも自家用電気工作物です。ここは蓄電池の有無と関係ありません
過積載の設備ほど、この落とし穴にはまります。
パワコンを49.5kWに抑えてある設備は、まさにその形です。
発注の前に、ご確認ください
この話がやっかいなのは、蓄電池が付いてから分かることです。
工事が終わって、電気が流れはじめて、そこで「主任技術者が要ります」となる。
そこから外部委託の手続きを取ることになります。
判断に必要なのは、パネルの合計出力/蓄電池を入れるかどうか/どこに繋ぐか/
高圧受電の事業場の構内かどうか。この4つです。
見積書と構成図があれば、その場で分かります。
先に分かってさえいれば、主任技術者にかかる費用も、事業計画に織り込んでおけます。
工事が終わったあとで足すことになると、想定していなかった支出になる。
同じ金額でも、受け止め方がまるで違います。
蓄電池の追加をご検討でしたら、発注の前に——できれば見積りを取る段階で——
一度ご確認ください。委託・切替をご検討中でしたら、
図面を拝見して、区分がどうなるかを整理してお伝えします。
出典
経済産業省 中国四国産業保安監督部四国支部「太陽電池発電設備(出力2,000キロワット未満)を設置する場合」/
電気事業法第39条・第43条・第46条・第51条の2/電気事業法施行規則第52条第2項。
出力の数え方および区分の表は、2026年8月25日時点の同支部ウェブサイトの記載によります。